書評
一覧題 名カイジから経済を学べ
- 著者名
- 丹羽 由一
- ISBN
- 9784532356798
- 出版年月日
- 2016年2月18日
- 出版社名
- 日本経済新聞出版社
- 価格
- 1500+税
- 投稿日
- キーワード
- 経済学
- 背景
- 東京大学経済学部を卒業し、現在は静岡産業大学経営学部の学部長を勤める丹羽由一さん。本書は行動経済学を学べる内容が書かれています。行動経済学とは「人間は必ずしも合理的な行動をしない」ということが基本テーマの学問です。人間は感情を持っており、それが意思決定プロセスに影響を及ぼすことは皆が自覚していることでしょう。時に説明のつかないほどの行動をしてしまいます。では具体的にどんな時に人間が不合理な行動をするのか。本書は「ギャンブル」をテーマに行動経済学を解説します。
- 概要
行動経済学を学ぶメリットは多々あります。例えば会社員にとって、マーケティング戦略の策定や消費者行動の予測を立てることなどに役立つことでしょう。それだけではなく、一人の消費者として、人生において不合理な選択をしない為の知恵や、あえて不合理な選択をする後押しにもなります。Amazonで商品が半額になっていたから思わず買ってしまった、現職を辞めてボランティアに貢献する道を選ぶといった行動は身近な不合理な選択の一例です。
実は不合理な選択をしてしまう大体の理由にはお金が絡んでいます。多く不合理な選択が見られるのがギャンブルの現場です。ギャンブルはお金を増減させるゲームなので不合理な選択から逃れられません。ギャンブルの参加者は皆、「どうしたら勝てるか」の命題のもと、様々な思考を巡らせます。その時、我々は人間の本質を垣間見ることができるのです。
当然、世の中はお金が全てではありません。しかし、お金に惑わされない人生を送るためにも行動経済学が役立つのです。行動経済学によって、自分にとってお金とは何なのか、自分の行動は正しいのかに対する理解を深めることができます。本書ではそんな行動経済学を有名漫画『カイジ』を題材に解説されています。親しみやすく、楽しみながら学べる内容構成です。本書を読んだ後の『カイジ』は別の観点からも楽しめる作品となるでしょう。「限定じゃんけん」や「Eカード」「地下チンチロリン」「地雷ゲーム17歩」など、実際に登場したゲームを基にした解説は必見です。
- 編集部より
- 行動経済学は会社員にとっても身に着けて損は全くない知識でしょう。しかし学生時代に専攻していたなど何かしらの縁がなければ、“○○経済学”と聞くとなにやら難しい話のように聞こえてしまいます。本書は漫画を用いることで柔らかいイメージを抱かせることに成功しています。内容もイメージしやすく、分かりやすい構成になっています。誰にでもご一読をおススメする書籍です。
- 著者
- 丹羽 由一