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題 名音とことばのふしぎな世界

著者名
川原繁人
ISBN
9784000296441
出版年月日
2015年11月5日
出版社名
岩波書店
価格
1,200円+税+税
投稿日
キーワード
言語
背景
著者は、日本の言語学者、認知科学者、音声学者、理論音韻論者、実験音韻論者。 専門は主にインターフェイス論(特に、音韻論と音声学、形態論や統語論とのインターフェイス)や音象徴、実験言語学一般。実験やコーパス分析に基づいた言語理論の研究を多く行っている。
概要

「あ」と「い」はどっちが大きい? あるいは、「コジラ」と「コシラ」では? 文字そのものには大小がないはずなのに、音で聴くと母語が何であるかにかかわらず、大小を判断するという。また、五十音図とサンスクリット語との関係、存在しない音を聴いてしまう脳などの話題を紹介する。

第1章 「マル」と「ミル」はどちらが大きい?──音象徴
[a]は大きくて[i]は小さい?/「ゴジラ」が「コシラ」だったら?/「濁音=大きい」──口の中が広がるから/ケーラーの不思議な図──「タケテ」と「マルマ」/名前で見た目の魅力も変わってしまう?──名づけの音声学/「タ行」は男の子の音,「な行」は女の子の音?/「タ行」は「ツンな」名前,「な行」は「萌な」名前?/本当にツンツンしている「タ行」の音/《まとめ》

第2章 「あかさたな」とサンスクリット研究──音声学のはじまり
音声学の始まり──五十音図の起源は紀元前4 世紀!/調音点と調音法/「ひよこがぴよこ」で「母がパパ」?/五十音図に隠された規則性/日本語のラッパーは音声学者?──日本語ラップの韻の分析/「あいうえお」にも意味がある/顔文字の発明者は音声学者?/《まとめ》

第3章 世界中のことばを記録する方法──記述音声学

世界のすべての音を記録する国際音声記号/『マイ・フェア・レディ』と音声学の意外なつながり/アフリカの奥地からアマゾンの奥地まで/舌打ちで話すことば,子音だけで話すことば/日本の方言学/言語聴覚士にも必須の音声記号/《まとめ》

第4章 音を目で見る──調音音声学
MRI で[r]と[l]の違いを目で見てみよう/あなたは「巻く」派? 「 巻かない」派?/“鼻にかかった音” はどんな音?/MRI で日本語の母音をチェック!/舌の動きはエコー検査で!/EMA と顎と顔文字と/声帯の動きを首の外側から観察──EGG のテクニック/調音点・調音法をもっと正確に!──EPG/《まとめ》

第5章 声紋分析官への道──音響音声学
実は大事な三角関数/フーリエ解析──すべての音は1 つの音でできている/「あいうえお」の声紋とは?/声紋から探る[r]と[l]の違い/どうして電話の相手の声を間違える?──振り込め詐欺に注意!/秋葉原のメイド声ってどんな声?/アメリカ人だって,外国語習得は苦手/音響分析なら何でもお任せ──Praat/「高いのは小さく,低いのは大きい」?──音響的音象徴/「はい,チーズ!」の「チーズ」はどこから?/《まとめ》

第6章 ないはずの音が聞こえる日本人──知覚音声学
[r]と[l]──深層では何か違いを感じている日本人/カテゴリー知覚/[ebuzo]と[ebzo]が同じに聞こえる日本人/脳が音をでっちあげる?/日本人だけじゃない──[tl]と[kl]が同じに聞こえるアメリカ人/赤ちゃんは言語習得の天才/赤ちゃんはテレビで音は学ばない/完璧な外国語習得は無理?/《まとめ》

第7章 社会との接点を目指して──福祉音声学
消滅危機言語を救え!/現代社会に根付いている音声工学の技術/より効率的な外国語学習方法を目指して/失われる声を救う──マイボイス

エピローグ──さらなる視界へ

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編集部より
ひとの音声を探求する「音声学」について、身近なトピックをとおして紹介する。心理学、哲学、認知科学、脳科学、さらには医学とも関連する音声学について、多くの図表を用いてわかりやすく解説している。
著者
川原繁人