書評

一覧

題 名大災害から命を守る知恵、術、仕組み ~実話に基づいて綴る避難の現状と対策~

著者名
鈴木猛康
ISBN
9784864740449
出版年月日
2014年11月21日
出版社名
ITSC静岡学術出版事業部
価格
1300+税
投稿日
キーワード
社会
背景
著者は1982 年、東京大学大学院工学系研究科資源開発工学専攻修士課程修了。民間企業にて地震工学に関する研究、技術開発、耐震設計実務に従事。1992 年、東京大学工学博士。 2004年~2007 年、(独)防災科学技術研究所川崎ラボラトリー。2007 年より山梨大学大学院教授、東京大学生産技術研究所研究員、特定非営利活動法人防災推進機構理事長。 2011年より山梨大学地域防災・マネジメント研究センター・センター長。山梨県防災アドバイザー、山梨県防災体制のあり方検討委員会委員長、山梨県強靭化有識者会議座長等を歴任。
概要

自然の力はあまりに大きく、これからも未曾有の自然事象が繰り返される。大災害を経験するたびに、想定や制度を見直され、災害対策が充実してきた。
しかし、地震や火山噴火の予知、局所的な集中豪雨と土石流の予測のための科学技術は、残念ながらまだ人類に備わっていない。
大災害を乗り切るためには、私たち一人ひとりが知恵をつけ、術を習得し、そして仕組みを活用しなければならない。
本書では、災害の実例や筆者が実施した実験を通して、災害対策に関する提案をしている。

-目次-
1.避難の情報伝達
1.1 南木曽町の土石流と避難
1.2 広島市の土石流と避難
1.3 御嶽山の水蒸気噴火
1.4 見直された避難の定義
1.5 被災者台帳、要配慮者リストと個人情報保護法
1.6 避難情報伝達の必要条件
1.7 見附市で実施した検証実験

2.なくならない未曾有と想定外
2.1 未曾有の豪雪と想定外の雪害
2.2 31年ぶりの災害対策本部設置
2.3 市町村の災害対応
2.4 災害のない場所などどこにもない
2.5 陸の孤島、道路はやはり生命線
2.6 食料の枯渇
2.7 集落の孤立
2.8 想定外をなくすための被害想定
2.9 災害の教訓を活かす

3.早く手をつけよう広域避難対策
3.1 市全域で避難勧告
3.2 広域避難の前提条件
3.3 広域避難に不可欠な多機関連携
3.4 広域避難実証実験の参画機関
3.5 BECAUSEモデルを用いた研修
3.6 中央市と甲府市の研修
3.7 支援機関のBECAUSE
3.8 第4回ワークショップ
3.9 そして実証実験へ
3.10 情報システムの構成
3.11 実証実験
3.12 アンケートによる事後評価
3.13 パニックを発生させない広域避難
3.14 まずは市町村の災害対応の充実を
3.15 広域連携を支援する防災情報システム

4.山間集落の孤立対策
4.1 山間集落の現状
4.2 孤立集落の生い立ち
4.3 まず大切なのは、信頼を得ること(C)
4.4 AとUを1回のワークショップで
4.5 住民説明会の開催(S)
4.6 安否確認体制の構築
4.7 リハーサル(S、Solution)
4.8 防災訓練(Enactment)
4.9 孤立対策とCAUSEモデルの評価
4.10 地域防災のためのSNS

5.失敗談いろいろ
5.1 本音を聞くことが大切
5.2 急いては事を仕損じる
5.3 SNSへの登録は首長の意思決定で
5.4 BEでは市長のみならず部課長の理解も大切
5.5 訓練の大切さを実感
5.6 自宅の避難はどうなるの

Pocket
LINEで送る

編集部より
実災害の事例を紹介しながら、おもに住民非難ををテーマに、大災害をいかに乗り切るかについて論じている。図表や写真を多数掲載し、住民、行政のどちらの立場から読んでもわかりやすく執筆されている。
著者
鈴木猛康