書評
一覧題 名倫理学の話
- 著者名
- 品川 哲彦
- ISBN
- 9784779509711
- 出版年月日
- 2015年11月1日
- 出版社名
- ナカニシヤ出版
- 価格
- 2,400+税
- 投稿日
- キーワード
- 哲学
- 背景
- 倫理学概論の講義の内容をまとめたもの。ノーマン著『道徳の哲学者たち』がこの方面では高く評価されるが、本書はノーマンとは異なり、時系列によらず問題構成によって構成され、かつノーマンが触れていない古代中世と近代の存在論の違い、カントの形而上学的側面、また未来世代や人間以外の自然までが倫理的主題となっている現代の事情などにも言及している。
- 概要
第一部「倫理学はどのような学問か」では、規範倫理学、記述倫理学(倫理思想史)、メタ倫理学、そして倫理と倫理学の違いを説明。
第二部「倫理(道徳)の基礎づけ」では、自己利益に基づけるアプローチ(プラトン、ホッブズ)、古代中世と近代の存在論の違い、共感に基づけるアプローチ(ヒューム)、義務に基づけるアプローチ(カント)、幸福に基づけるアプローチ(ベンタム、J.S.ミル、ヘア)を説明。
第三部「正義をめぐって」では、正義と善(アリストテレス、キケロ、トマス、ロック)、ロールズ、リバタリアニズム、共同体主義、アリストテレス、ヘーゲル、討議倫理学、ケアの倫理、未来倫理(正義に基づくものとしてアーペルとロールズ、責任に基づくものとしてヨナス)、正義概念の脱構築(レヴィナス、デリダ)を説明。最後に、倫理学と真理論の関係を説いている。
- 編集部より
- 学説を浅く広く時代順にまとめたものでなく、著者の学説史理解に基づいて、各理論が問題とする事柄を展開し、次章の理論の紹介につなげている。超越(カント、パウロ)、形而上学といった西洋哲学に不可欠だが、現代の概説書では無視されやすい主題にも言及している。
- 著者
- 品川 哲彦